2013年9月11日水曜日

Take Notes | バーチャル伝承館への第一歩

きょうはとびきりうれしいことがあった。さいとう製菓旧本社の取り壊し前の360度映像が急遽制作できることになったから。しかもプロカメラマンが無料で撮影から後処理まで引き受けてくれるという、まさにプロボノ。奇しくも各紙が気仙沼の第18共徳丸解体開始を報じた日に、感謝感激雨霰でTakeNotes。facebook|Likes:86 Comments:1 Note|Likes:42 Comments:6 Share:1
それは、山下洋輔さんのマネージャーだった岩神六平さんのfacebookの投稿から始まった。山下さんを撮り続けているプロカメラマンの内田巧さんが、360度映像の仕事もされていて、日比谷野外音楽堂90周年の360度映像を岩神さんが紹介していた。単なる魚眼の全方位写真ではなく、カメラを回転させながら撮影したものをつなぎあわせて1枚の写真にし、ボタン操作で上下左右動かして見ることができるインタラクティブな360度映像だ。野音のステージ尖端に立って、ステージと観客席はもちろん、足許には「祝!90周年」の文字、上を見あげると屋根がギリギリかかっているところまでよく分かる。(写真をクリックするとウエア写真制作所のサイトに飛びます)
ライブ収録に何度も行っていたので、はじめは懐かしさいっぱいで眺めていたが、ステージから約10mの屋根を見上げて、旧本社はこの高さ近くまで津波が来たんだと思った瞬間、「あっ、これだ。取り壊し前の旧本社を360度映像で撮っておけば、8.5mまで達したことも、従業員全員が避難した前方の丘も説明できる」と思いついた。そこで早速、岩神さんを通じて内田さんにコンタクトしたら、メールを出してわずか1時間後には「無料で撮影に行って360度映像に加工する」との返事(「第18共徳丸のニュースがあったので出来るだけ早く伝えたかった」とまで言ってもらった)。何ということだろう! 津波伝承館の意義をすぐに理解してもらって、瞬時に支援の申し出をしてもらえるなんて。

さいとう製菓旧本社は、かさ上げと区画整理にともない解体される順番待ちの状況なのだが、齊藤館長に調べてもらったら、解体は11月とのこと。そこで内田さんには早速、来週16、17日にも撮影してもらうことになった。本当にありがたいことだ。最近ではiPhoneに装着して簡単に撮れるGoPano micro(¥8,800)まである360度映像だが、やはり5000年先まで語り継ぐためには、高解像度の映像できちんとアーカイブしておくべきだ。本当に内田さん、岩神さんには感謝の念に堪えない。
(被災翌日のさいとう製菓旧本社と到達水位の看板は齊藤賢治津波伝承館館長撮影) 

不勉強だった。大震災直前にはじまったMSN産経フォトは、360度ビューの定点観測などで月間2000万アクセスにも上り、気仙沼の共徳丸も解体開始直前の9/6が同地点6回目、震災関連261本目の記事になっている。南三陸町の防災対策庁舎や陸前高田の一本松などをはじめ、先日行った石巻のサン・ファン 号まで、貴重な定点観測記録だと思う。ネット時代の新聞社の姿の一つで、フォトジャーナリズムの新しい形のような気がする。図らずも Tsuyoshi Satoさんの投稿で知った。ありがたい。
 http://photo.sankei.jp.msn.com/panorama/daishinsai2011