映劇にゅうくりあを主宰している同級生の泉谷渉君が製作した映画「君はヒヨシを見たか!!」を、伊勢佐木町のクロスストリートで観た。戦前は押しも押されもせぬ大スターの日吉良太郎だが、戦後はなぜか完全に演劇界から姿を消し、われわれの生まれた1951年に亡くなっている。彼の常打ち小屋だった敷島座もワンブロック関内よりで、いまはBoutiqueQuestionになっているところにあり、クロスストリートで5日間にわたって公開した意味があった。地元素材発掘と単なる謎解きではないストーリー仕立ては、半導体などの新聞社の社長業のかたわら芝居と座付作家を続けている泉谷君ならではだ。ただ、十分な資金と時間がなかったゆえの不完全さは残念だった。新たな横浜の宝物を示してくれ、その記録を映像に固定する価値は十分にあったので、倒叙法で編集し直したい衝動にかられたけど、やはりそれでは映画でなく、単なるテレビの推理ドラマになってしまうのかも知れない。
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